浜田省吾の「悲しみは雪のように」は、私にとって特別な一曲です。
1981年に発表された後、1992年にドラマ『愛という名のもとに』の主題歌として再び世に広まり、170万枚を超える大ヒットになりました。私自身も、何度も再放送を見ては胸を熱くし、この曲が流れる瞬間に心をつかまれた記憶があります。
悲しみと向き合った夜に
この曲が響くのは、ただメロディが美しいからではありません。
悲しみを冷たい雪にたとえながらも、それがやがて溶けて優しさや愛へと変わっていくことを示しているからです。
私も人生の中で、大切な人との別れや、自分の無力さに打ちひしがれるような夜を経験しました。そんな時、この曲を聴くと「悲しみを抱えているからこそ、他人に優しくなれるんだ」と教えられるような気がして、救われたのです。
ドラマと重なった孤独の記憶
1992年のドラマ『愛という名のもとに』は、都会で生きる若者たちの葛藤や孤独を描いていました。
その物語に自分自身を重ねながら聴いた「悲しみは雪のように」は、単なる主題歌以上の意味を持って響いてきました。
日常の中で感じる言葉にできない孤独。誰にも見せられない涙。そんなものを抱えながら生きる姿を、この曲は静かに肯定してくれたように思います。
音楽が語る“静と動”
この曲のメロディは、心の動きをそのまま映し出しているようです。
静かに語りかけるような旋律から始まり、やがて感情を解き放つように高まっていく。その抑揚に、胸の奥に眠る感情が揺さぶられます。
私自身、冬の夜に一人で聴いたとき、冷たい外の空気と重なって心に沁みわたり、やがて涙とともに温かさを感じる――そんな体験を何度もしました。
まとめ──雪が残す“優しさ”の記憶
「悲しみは雪のように」は、浜田省吾が描いた“優しさの記憶”だと思います。
悲しみを知る人ほど、他者に優しくなれる。その普遍的なメッセージが、時代を超えて多くの人の心に届き続けているのでしょう。
冬の夜、雪が舞う静かな時間に耳を澄ませると、この曲はまるで心の奥に積もった雪を溶かし、優しさに変えてくれるようです。
そして私はそのたびに、大切な人の顔を思い出し、もう一度、前を向く勇気をもらっています。
