少年時代を刻んだ島
瀬戸内海に浮かぶ江田島。この静かな島は、ロックミュージシャン浜田省吾さんが「初恋のきた島」と語った特別な場所です。警察官だった父の転勤で、小学4年から中学1年までの4年間を過ごし、剣道に励む日々を送りました。そんな生活の中で友人宅で耳にしたビートルズの音楽に衝撃を受け、「音楽の世界がある」と気づいた瞬間が訪れます。ここが、彼のアーティスト人生の出発点でした。
巡礼の第一歩:山田バス停
聖地巡礼でまず訪れたいのは「山田バス停」。ファンクラブ誌に掲載された“浜省ポーズ”の舞台として知られ、今もファンの心をくすぐる場所です。撤去予定を地元中学生の声が救い、図書館敷地内に移設。さらに2023年には市が復元工事を行い、当時の姿そのままに再現されました。停留所の看板や広告まで整えられ、ファンが「浜省になりきれる」撮影スポットとして人気を集めています。
巡礼の拠点:江田島図書館
次に向かうのは江田島図書館。「ON THE ROAD 江田島」コーナーには全国のファンから寄贈されたポスターや雑誌、写真が展示され、小さな浜省ミュージアムのような空間に。2024年には展示スペースが拡張され、中庭には記念撮影用のベンチや寄せ書きノートが設けられました。2025年には「初恋記念日イベント」も開催され、音楽会や特別展示で大いに盛り上がりました。
巡礼の味:お好み焼き店「だいだい」
江田島の聖地巡礼に欠かせないのが食の記憶。浜田さんが青春時代に通ったお好み焼き店「高田」は、今は「だいだい」として営業しています。ファン同士が集まり、当時の味を分かち合いながら語り合う時間は、音楽と記憶を結ぶ大切なひとときです。
自然が育んだ“浜省らしさ”
古鷹山に父と登った記憶や、瀬戸内海で泳いだ夏の日、カキ筏での小さな怪我。こうした自然体験は、彼の歌詞に描かれる風景や、孤独と希望が交差する世界観の土台となりました。江田島を歩くと、浜田省吾の歌の情景が重なる瞬間に出会えるはずです。
巡礼の終着点
江田島は、浜田省吾さんの音楽と人生の原点であり、今もファンの熱意と地域の協力で“聖地”として息づいています。山田バス停や図書館展示を巡り、青春の味を味わい、自然に抱かれる旅は、彼の音楽の奥に流れる魂に触れる体験です。
「初恋のきた島」江田島——それはファンにとって、ただの島ではなく“自分自身と出会う巡礼の旅”なのです。