人生には、時には立ち止まることが必要です。
そんなことを改めて気づかせてくれたのが、浜田省吾の「みちくさ」です。
私が体験した「みちくさ」の瞬間
登山していると、頂上までのルートで、急斜面を直登するルートと、時間はかかるけど気持ち緩くトラバースするルートに分かれてるときに出くわします。急いでなかったら、トラバース道を行きます。ひょっとしたら景色良い場所に出くわすかもしれないですよ。実際に何度も、”みちくさ”したおかげで、素晴らしい景色にであえました。たまたまそこで出会った人と話すこともできます。
そんな場所に出合えたら、浜田省吾の声が心に重なります。──「時には立ち止まって、みちくさすればいい」。
立ち止まった瞬間に、人生が息を吹き返す。そんな経験をしてから、私は「みちくさ」の意味を考えるようになりました。
急がない時間の中にこそ、豊かさがある
仕事や目標、家庭や責任。大人になると、何かに追われているように感じる瞬間が多くなります。
そんなとき、思いきって足を止めてみてください。周りの景色や人の声が、ゆっくりと心に染みてくるはずです。
人生は、ゴールにたどり着くだけが目的ではありません。途中の寄り道こそが、自分を形づくっていくのです。
「みちくさ」とは、人生の”余白”に咲く花のようなもの。立ち止まる勇気が、かえって前に進む力になることもあります。
fairlife「みちくさ」── 浜田省吾が歌う、寄り道
この曲は、2020年にリリースされたfairlifeのアルバム『Beautiful』に収録されています。
fairlifeは、浜田省吾・春嵐・水谷公生によるユニット。浜田のソロ作品では見られない”静かな日常へのまなざし”が魅力です。
「時には立ち止まってみちくさすればいい」
この一節には、人生を走り抜けてきた彼だからこそ言える説得力があります。
若き日の”J.BOY”が社会を駆け抜けたとすれば、この「みちくさ」は”ひとりの大人”として世界を包み込む歌。浜田省吾という表現者の、もう一つの声が聴こえてきます。
「焦らなくていい」という優しいメッセージ
この曲を聴くと、不思議と心のペースが整います。
音も言葉もすべてが、聴く人の「今」に寄り添うように響く。fairlifeの穏やかなサウンドは、浜田省吾がロックを越えてたどり着いた”やさしさの音楽”そのものです。
「みちくさ」は、何かを頑張るための歌ではありません。むしろ、”頑張りすぎた人”を包み込む歌なのです。
立ち止まることは、前に進むための呼吸。それが、長年、浜田省吾の音楽を聴いてきた人の胸に、静かに沁みていきます。
「今しか出会えない世界」が待っている
いつもと違う道を歩いてみる。それだけで、新しい風景や人に出会えます。
寄り道は、人生を少しだけ面白くしてくれる魔法です。そしてそれは、”今しか出会えない世界”を見せてくれる時間でもあります。
fairlifeの「みちくさ」は、そのことを静かに教えてくれます。
音楽を聴きながら、心の速度をひとつ緩める。それだけで、世界が少し違って見えてくるのです。
寄り道は、人生のご褒美だ
fairlife「みちくさ」は、”止まってもいい”という優しい許しの歌です。
浜田省吾が人生の後半で見つけた、新しい自由のかたちがここにあります。
走り抜けることばかりが価値じゃない。立ち止まって見上げた空の美しさこそ、人生のご褒美なのかもしれません。
あなたも今日、少しだけ”みちくさ”してみませんか?
fairlifeの音楽は、私たちに「急がなくていい」と語りかけてくれます。人生という長い旅路の中で、ときには立ち止まり、深呼吸する時間を持つこと。それが、本当の豊かさへの道なのかもしれません。

