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山旅と音楽が織りなす二日間~燕岳の稜線で響いたメロディー

旅と音楽

はじめに ─ 山と音楽が重なる瞬間

山を歩いていると、不思議と心の中に音楽が流れ出すことがあります。足音や息づかい、風の音や鳥の声。それらが重なり合い、まるで自然が大きな楽譜となって奏でているように感じられるのです。今回の燕岳登山は、まさにその瞬間にあふれた二日間でした。天候の移ろい、仲間と分かち合った達成感、そして稜線で出会った雷鳥の親子──その一つひとつが音楽と響き合い、忘れられない体験となりました。


便利な計画と出発の安心感

今回の登山は、友人たちの計画に同行する形で実現しました。中房登山口の「湯原の湯」の駐車場を予約できたことで、下からの長いアプローチを避けられ、登山のスタート地点に余裕を持って立てたのは大きな安心でした。下山後すぐに温泉に入れるという楽しみも、心の余裕となって登山を後押ししてくれました。まさに「音楽でいえば序奏」のように、快適なスタートを切ることができたのです。


天候の変化と自然のリズム

登山口では青空が広がり、気持ちよく歩き始めました。しかし合戦小屋に近づく頃、ガスが立ち込め、やがて雨が降り出します。視界が閉ざされると、仲間との会話も減り、ただ自分の鼓動と呼吸のリズムが強く響きました。
「雨はリズムを刻むドラム、ガスは静寂をつくる休符。」
そんな風に思えたのは、山が持つ自然の音楽性を強く感じたからかもしれません。燕山荘に着き、仲間とショートケーキを食べながら、雨が上がるのを待ちながら過ごした時間もまた、次の楽章への“間奏”のようでした。


燕岳登頂 ─ 仲間と奏でるハーモニー

雨が小降りになったタイミングを見計らい、仲間と共に燕岳の山頂へ。ガスに包まれた山頂は幻想的で、視界は限られていましたが、その分、仲間と分かち合った達成感が強く心に残りました。
「視界が閉ざされても、心に流れる旋律は途切れない。」
この瞬間、自然と仲間が一つのハーモニーを奏でているようでした。


稜線歩きと雷鳥との出会い

2日目は天候に恵まれ、槍ヶ岳方面の雲が変わる前に稜線を歩くことができました。広がる景色の中を2時間ほど進む稜線歩きは、まさに交響曲のクライマックス。
そして、そこで出会った雷鳥の親子。可愛らしい姿と、まるで自然と共に生きるシンボルのような存在感に、心が震えました。
風の音、鳥の声、仲間の笑い声──自然が織りなすオーケストラの中で、私の心は完全に音楽と同化していたのです。


下山の余韻とスイカの甘さ

下山途中、合戦小屋で食べた冷たいスイカの甘さは、まるでコーダ(終結部)のように旅を締めくくる一幕でした。そして、登山口に戻ってすぐに入った温泉の心地よさと、ソフトクリームの甘さ。温かい湯に包まれながら、心の中では再び旋律が流れ始めます。山旅の全てが音楽のようにリフレインし、心に深く刻まれていきました。


この山旅に重ねる音楽たち

今回の燕岳登山に寄り添ってくれたのは、次のような楽曲たちです。

  1. 久石譲 – “Summer”
    登り始めの晴れやかな気分や稜線歩きの爽快感を彩るピアノの旋律。山の壮大さを引き立てる一曲。

  2. 浜田省吾-”ギターケースの中の僕”
    雨やガスの中でも仲間と支え合いながら登頂を目指す、その一体感や自然への感謝を映し出す歌声。

  3. スピッツ – 「空も飛べるはず」
    ガスが晴れ、稜線からの景色が広がった瞬間の解放感。心地よい疲れと高揚を象徴するメロディー。

これらの曲は、まるで山のシーンに合わせてBGMのように流れ、体験をより豊かにしてくれました。


おわりに ─ 山が奏でる交響曲

山旅と音楽が重なるとき、それは心に深く刻まれる「人生の一章」になります。燕岳での二日間は、変わりゆく天候や仲間との絆、そして自然との出会いを通じて、一つの楽曲のように感じられました。

自然の中で感じる音楽は、どんな名曲にも負けない力を持っています。これからも山に足を運び、風や鳥の声に耳を澄ませながら、自分だけの「山旅プレイリスト」を増やしていきたいと思います。