はじめに──懐かしのテレビと音楽の融合
1970年代から80年代、娯楽なんて限られていませんでしたか?。家庭の団らんの中心には必ずテレビがありました。特に、土曜日の夜といったら、『8時だョ!全員集合!』と『オレたちひょうきん族』。どちらも時代を象徴するバラエティ番組ですが、とりわけ『ひょうきん族』を語る上で欠かせないのが、EPOの『DOWN TOWN』です。毎回エンディングで流れるそのメロディは、番組の空気を余韻として刻み、口ずさんでいたのを思い出します。
本記事では、EPO『DOWN TOWN』と『ひょうきん族』の結びつきを解説しながら、『全員集合』との比較を通して、昭和後期のテレビ文化と音楽の関係を振り返っていきます。
『DOWN TOWN』のルーツ──Sugar BabeからEPOへ
『DOWN TOWN』は、山下達郎、大貫妙子らが在籍した伝説のバンド・Sugar Babeの1975年発表曲がオリジナルです。都会の街角を舞台にした歌詞と、ソウルフルなアレンジは、日本に「シティポップ」という概念を根付かせる礎となりました。
EPOは1980年、この楽曲をデビューシングルとしてカバー。女性の柔らかさと透明感をまとったボーカルは、Sugar Babe版とはまた違う魅力を放ち、よりポップで親しみやすい「街のテーマ曲」として広く浸透しました。
歌詞の世界観──“街に出れば新しい出会いがある”
『DOWN TOWN』の歌詞は、シンプルながら非常にキャッチーです。
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「都会に出かければ、何かが始まる」
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「新しい出会いや体験が待っている」
そんなワクワク感を描いており、1970年代後半から80年代初頭にかけて、地方から都市へ若者が集まった時代背景とも重なります。高度経済成長を経て、都会は“憧れと刺激の場”でした。そのムードを軽快に表現したのが『DOWN TOWN』だったのです。
サウンドの魅力──都会を感じさせる軽快さ
EPO版『DOWN TOWN』は、明るくポップなアレンジが特徴です。
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軽やかなホーンセクション
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弾むようなリズムギター
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EPOの伸びやかで爽やかな声
これらが融合し、「街に繰り出そう!」という気持ちを自然に高めてくれます。Sugar Babe版が都会の夜のムードを感じさせるとすれば、EPO版は昼下がりの街角に似合うサウンドといえるでしょう。
『ひょうきん族』のエンディング曲としての役割
1981年にスタートした『オレたちひょうきん族』は、ドリフターズの『8時だョ!全員集合!』とは異なり、大人も楽しめる風刺とパロディで人気を集めました。そのエンディングで流れる『DOWN TOWN』は、番組の余韻を都会的に締めくくる役割を果たしていました。
お笑いのドタバタの後に、EPOの声で「街に出よう」というメッセージが流れる。このギャップが印象的で、番組を観終わった視聴者に「明日からも頑張ろう」と思わせるポジティブな空気を残したのです。
『全員集合』との違い──音楽の使い方
裏番組で放送されていた『8時だョ!全員集合!』は、ドリフ中心のコントに豪華ゲストの歌が加わる“歌謡ショー型”でした。それに対して『ひょうきん族』は、EPO『DOWN TOWN』を固定的に使うことで「番組=この曲」という強い印象を築きました。
つまり、『全員集合』は歌手が入れ替わる豪華さ、ひょうきん族は固定曲の都会感。この違いが、番組の個性を際立たせたのです。
現代における再評価──シティポップブームと『DOWN TOWN』
近年、シティポップが世界的に再評価されています。YouTubeやSpotifyで『DOWN TOWN』を聴いた海外リスナーがコメントを残すなど、EPOの歌声は世代も国境も越えて響いています。
さらに、テレビやSNSで「昭和の名曲」「懐かしの番組」として紹介される機会も増え、『ひょうきん族』のエンディングと結びつけて語られることも多くなっています。
まとめ──EPO『DOWN TOWN』が残したもの
EPOの『DOWN TOWN』は、単なるカバー曲ではなく、1980年代を象徴する“都会のテーマソング”として定着しました。『ひょうきん族』のエンディングに流れることで、視聴者の耳に深く刻まれたのです。
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都会への憧れを歌った歌詞
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ポップで親しみやすいサウンド
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番組とリンクした文化的記憶
これらが揃ったことで、『DOWN TOWN』は昭和を彩る一曲として今も輝き続けています。
あなたが思い出す『DOWN TOWN』のシーンは、どんな場面でしょうか?