2023年に結成された比較的新しいバンド「スーパー登山部」。名古屋を拠点に活動する彼らは、文字通り“登山”と“音楽”を掛け合わせたユニークな存在です。
そもそもの始まりは、LINEグループ名が「スーパーバンド」だったこと。そこから「スーパー」だけが残り、「登山部」という言葉がくっついてしまった結果、バンド名が「スーパー登山部」に。その響きに引っ張られるように、登山経験があったリーダーの小田智之さんに続き、メンバー全員が本当に山に登り始めてしまったのです。まるで名前が人生を動かしてしまったようで、面白いですよね。
白馬岳・山頂ライブという挑戦
彼らが注目を集めたのは、2024年7月に行われた白馬岳(標高2,932m)の山小屋「白馬山荘」でのライブ。
アンプなどの重たい機材は山荘の協力でヘリコプター搬送。けれどギターやドラムセットといった楽器は、自分たちの背中に背負って登山道を登りきったそうです。まさに歩荷そのもの。
標高3,000m近い場所で鳴らした音は、ただのライブではありませんでした。汗を流してたどり着いた登山者にとって、それは山頂からの絶景と同じくらいの“ご褒美”。自然と音楽が一つになった瞬間に、居合わせた全員が心を震わせたのではないでしょうか。
登山と音楽の共通点
リーダーの小田智之さんは、作曲に煮詰まったときに山へ行き、山頂でハーモニカを吹いてリフレッシュしていたそうです。自然の中で吹く音色は、きっと心をまっさらにしてくれたのでしょう。
登山と音楽には、実は似た部分がたくさんあります。どちらも「苦しさの先にある達成感」を伴い、積み重ねの努力が必要です。背中に重い荷物を背負って一歩ずつ進む感覚は、地道に練習を積んで一曲を完成させるプロセスと重なります。彼らが山と音楽を融合させていったのは、自然な流れだったのかもしれません。
夢は全国の山小屋ライブへ
小田さんの夢は、涸沢や燕岳の燕山荘など、日本各地の山小屋を巡ってライブをすること。実現したら、多くの登山者にとって忘れられない思い出になるはずです。
「スーパー登山部」は、ただのバンド活動を超えて、“山に登ることそのもの”を音楽体験へと変えています。これからも、全国の山とともに成長していく彼らから目が離せません。山好きとして、心から応援したくなる存在です。
おわりに
山の上で楽器を担ぎ、音を奏でる。誰も思いつかなかったことを本気でやり遂げる姿は、音楽と登山、どちらにも通じる「青春」のような輝きを放っています。
次はどの山で彼らの音が鳴り響くのか──考えるだけでワクワクしますね。